私はウェブアプリケーションのUI/UXデザインをしています。
いま、ウェブ開発おいて最重要視されているのはUXデザインです。 アニメーションやエフェクトで豪華絢爛に見せることが良しとされた時代は終わりました。
UXとはuser experience(ユーザー体験)を短縮した言葉です。 UXデザインとはユーザーが製品を手にとったときや利用したときの体験を設計することです。
私はUX学ぶために一冊の本を手にとったのですが、これがとても素晴らしかったので要約したいと思います。
ゲームはUXの宝庫
いつの時代も子供はテレビゲームを欲しがり、今となっては大人も積極的にゲームを楽しむ時代となりました。 私も子供の頃はテレビゲームが大好きで勉強そっちのけで熱中していました。
なぜこんなにも人はテレビゲームに魅了されるのでしょうか?
答えは「楽しい」からです。単純明快ですがそれ以上の理由は無いでしょう。
人が「楽しい」と感じるために作られたテレビゲームにはUXの真髄が数多く散りばめられています。
今回は世界で最も売れたゲームソフト「スーパーマリオ」を題材にUXデザインの一部をご紹介します。
何をすれば良いのか明確である
スーパーマリオは何をすれば良いか、それは世界中の誰もがひと目で見て分かるように単純明快にデザインされています。
それは「右に行くこと」です。
他にも「スーパーマリオは何をすれば良いですか?」と答えると以下の答えもありそうです。
- コースをクリアすること
- クッパを倒すこと
- ピーチ姫を救出すること
これらも間違いではありませんが、全ては右に行くことで発生する副産物なのです。
多くの人は何をすれば良いのか分からないことを「楽しくない」と感じます。スーパーマリオにはそう感じさせないUXがデザインされているのです。
仮説と自発的な行動(アフォーダンス)
ユーザーが楽しいと感じるには「自発的」であることが重要です。 行動を強制されているように感じると途端に楽しくなくなってしまうユーザーが大多数を占めます。
ゲームにはユーザーが自発的に行動したくなるようなヒントが散りばめられています。
それをもとに仮説を立て、行動し、報酬を勝ち取ることで楽しいと感じるようになります。
この仮説に基づく行動のことを心理学や認知科学ではアフォーダンスと呼ばれています。
素晴らしいユーザー体験にアフォーダンスは必要不可欠なのです。
気づきのヒント(シグニファイア)
ユーザーのアフォーダンスを促すにはそれを伝えるための情報が必要です。
これをシグニファイアと呼びます。
スーパーマリオでは右に行くことのシグニファイアが散りばめられています。
- マリオが画面の左側に立っている
- マリオが初めから右を向いている
- 画面右側に空や雲が配置され開けている
当時のゲームカセットはとても小さなメモリだったのでゲーム内に表現できるモノは限られていました。
スーパーマリオはその限られたリソースを、「右に行くこと」を気づかせるためのシグニファイアに割いたのです。
初頭効果
スーパーマリオでは皆さんご存知のようにゲームの刺激となるアイテムが沢山登場します。 代表的なアイテムとして以下のようなものがあります。
- スーパーキノコ
- ファイアフラワー
- スター
- 1UPキノコ
さらにこれら全てが最初のステージに集中しているのです。
これは学習の初頭効果を最大限活用した工夫です。初頭効果とは時間をかけて学んでいく時、体験の初めが最も集中力や学習効率が高まることを言います。 ゲームに限らずユーザーが何か新しいサービスを利用し始めるときワクワク感が最も高まるのは初めてやる瞬間です。
初頭効果が最大限高まっているうちに主軸となる4つのアイテムを経験してもらうことでユーザーに強く印象づけることができます。
まとめ
スーパーマリオのステージ1-1がゲームデザインとして完成されている、というのは有名な話です。
私も話に聞いたことはあったのですが、こうやって書籍を元に記事にまとめることでとても理解が深まりました。
今後も連載企画として続きを書いていきます。